新しいスキャン手法として、らせんCTがオプション機能として追加されました。
通常のスキャンでは測定対象物は上下移動なく回転しスキャンされますが、らせんCTは回転中に回転軸に沿ってらせん状に上下に移動します。
この手法の利点は、測定対象物のすべての部分がX線光源から検出器まで、少なくとも1回は水平方向に透過されることです。原理上、コーンビームおよびリングアーチファクトは発生しません。また、様々な方向から測定対象物のX線透過画像が得られることで三次元形状の再現精度が上がり、結果としてアーチファクトの少ない鮮明な像が取得できます。
らせんCTの使用無しの条件と、有りの条件でデータを比べてみました。
(どちらもTomoScopeでスキャンした結果で、らせんCTの使用有無以外の条件は同じです。)
通常スキャンのデータでは、リングアーチファクト、コーンビームアーチファクト、金属起因のアーチファクトが発生しています。
らせんCTを使ったデータには、リングアーチファクトやコーンビームアーチファクトは無く、金属起因のアーチファクトも大幅に低減されています。
アーチファクトの影響で表面が粗れており、実際には無い形状がノイズとしてデータにのっています。
ノズル穴の明るさのムラがノイズとなり、正確な穴形状の輪郭データを得られていません。
表面が滑らかで、貫通したノイズ穴のデータを得られています。
同じ材質間(空気、金属)で明るさのムラが少なく、ノイズの少ない輪郭データを得られています。
ノイズの少ないデータが得られれば、各長さや角度などの測定が出来ます。今回は100μm程度の直径も測定しました。