日々公差の厳しい製品を測定しているかたほど、測定機の精度は気になるところ。
精度に注目していくつか寸法測定用のCT装置をご覧になったかたは、
「どこのメーカーも『精度保証』はしているけど、この『保証』ってみんな同じ意味?」
「精度3.5μmとか4.5μmとか書いてあるけど、この数字は何をどう測ってるの?」
と疑問を持たれたかもしれません。
そこでこのページでは、TomoScopeの精度保証について、「他の寸法測定用CT装置と共通するところ」と「それに加えたTomoScopeの特長」に分けて詳しく解説します。
【共通するところ】
よく寸法測定用CT装置の精度保証に用いられるのは、CTの規格である【VDI/VDE 2630】です。この規格に準拠していること、あるいは準拠することでいずれかの認定機関に認められていることを『精度保証』としている装置が多いです。もちろん、TomoScopeもこの規格に準拠しています。
【TomoScopeの特長】
TomoScopeはこのCTの規格に加え、三次元測定機の規格である【VDI/VDE 2617】にも準拠しています。これは国際規格の【ISO10360】に対応しています。
CTの規格だけでなく、国際規格に対応した三次元測定機の規格に準拠することで、TomoScopeはドイツの技術審査認定機関であるDAkkSの厳しい審査を通過し、認定を得ています。これは寸法測定用CT装置としては初めてのことです。
【共通するところ】
CTの規格であるVDI/VDE 2630は、①MKDN(27本のピンの先端にルビー球が付いたデバイス)や、②サファイアの基準球を測定して精度を評価します。①は球と球の距離を、②は球直径と真球度を測定します。
球と球の距離(351通り)を測定
球直径と真球度を測定
測定する項目 | 精度の名称 | TomoScopeの精度 | |
---|---|---|---|
①MKDN | 球と球の距離 | 球間距離測定誤差 | SD: (3.5+L/100)μm |
②サファイア基準球 | 球直径と真球度 | プロービング誤差 | P: 4.5μm |
【TomoScopeの特長】
このうち、①MKDNで測る「球間距離測定誤差」は、球の中心間距離を測定しています。しかしこれだけでは、球のエッジ部分(=球と空気の境界)の精度はわかりません。
そこでTomoScopeでは「球エッジ距離測定誤差」も明記し、精度保証しています。
エッジのボケや歪みの影響が小さい
エッジのボケや歪みの影響が大きい
測定する項目 | 精度の名称 | TomoScopeの精度 | |
---|---|---|---|
①MKDN | 球と球の距離 | 球間距離測定誤差 | SD: (3.5+L/100)μm |
球エッジ距離測定誤差 | E: (4.5+L/75)μm | ||
②サファイア基準球 | 球直径と真球度 | プロービング誤差 | P: 4.5μm |
実は弊社でTomoScopeの精度を記載する際、今までは最も厳しい「球エッジ距離測定誤差」の「(4.5+L/75)μm」のみをご紹介してきました。しかし最近はどの業界でもますます精度要求が厳しくなり、測定機の精度への関心も日に日に高まっています。
そこで「精度保証」の詳細を開示し、よりわかりやすく測定機を比較して頂けるように致しました。
測定機の歴史からすれば、寸法測定にX線CTを用いるのはまだまだ新しい技術です。精度保証について知って頂くと共に、ご納得いくまでデータのご評価をして頂けるよう、エスオーエルがお手伝い致します。ご不明点はお気軽にお問合せ下さい。