X線はX線管という真空管で発生させます。
真空中でフィラメント(陰極)から出た熱電子がターゲット(陽極)に衝突したとき、X線が発生します。
熱電子のうち1%がX線に、99%は熱エネルギーに変わります。
斜めに設置されたターゲットに電子を衝突させ、発生したX線が反射する仕組みのX線管を「反射型」X線管と呼びます。
一方、薄いターゲットに電子を衝突させ、発生したX線をターゲットを透過させる仕組みのものを「透過型」X線管と呼びます。
「反射型」は高出力が可能で、「透過型」では到達できない出力(450kV以上)まで上げることができます。
しかしX線の発生する焦点径(スポットサイズ)が大きく、出力を上げるほどさらに大きくなってしまうデメリットがあります。
一方の「透過型」は、高温によってターゲットが溶けるため出力は限られますが、「反射型」よりも焦点径を小さく絞ることができるのが特長です。
一般に「マイクロフォーカス」「ミリフォーカス」と言われるのは、この焦点サイズのことです。
CTでは焦点が大きいほどCT像のボケが大きくなり、逆に焦点が小さいほど鮮明な像が得られます。
仕様上「マイクロフォーカス」と表記していても、反射型や一般的な透過型のX線管は、出力を上げると焦点も大きくなってしまうため、注意が必要です。
焦点の大きさは、特に高倍率でスキャンするとき、結果に大きく影響します。
倍率を上げるときは測定対象を焦点に近づける必要がありますが、その際ボケの影響は低倍率のときよりも大きくなってしまいます。
従って、より鮮明で高精度な輪郭検出には、焦点の小さいX線管が有利です。
「透過型」のX線管は新しい技術で、従来は出力も低く、ごく限られた用途にしか使えませんでした。
しかし近年開発が進み、現在TomoScopeの透過型X線管は300kVまでの高出力に対応しています。
エスオーエルのデモ機は225kVまでですが、透過型のX線管を搭載しています。
是非実際のデータをご覧下さい。