X線CT装置 進化の歴史

工業では、製品内部の欠陥を検査したり

X線CT装置と言うと、皆さんはどんなイメージでしょうか。

 

「病院で検査をする時に使う装置のイメージだけど、どう違うんだろう…」

「うちの工場にもCTあるけど、古いし、よく分からないなぁ…」

「なんか危なそう、、人体に影響ないのかな…」

など、なかなか馴染みのない装置であることは確かだと思います。

 

ではX線CT装置とは、どのような技術なのでしょうか。

はじまりは医療の現場から

レントゲン博士は1895年にX線を発見し、その功績から1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。今もX線の撮像はレントゲン写真、と彼の名前で呼ばれています。

その歴史を調べてみると、

「1970年代にイギリスの電子技術者ハウンスフィールド(Godfrey Newbold Hounsfield)氏が初めて医療向けに開発し、1979年にノーベル生理学・医学賞を受賞した」

との情報に行きつきます。

 

X線自体はそれよりも前から使われていましたが、コンピュータの技術が普及していなかった為に、特殊フィルムに投影したり、アナログな機械的装置によって断層を撮影したりという技術を使っていたそうです。

コンピュータを用いて、取得した沢山のレントゲン像から計算し、今、病院で使われているようなCTに近い形を開発したのはハウンスフィールド氏なのだそうです。

最初に製品化されたX線CT装置は脳を検査する為のものでしたが、今では色々と機能や性能が向上し、人体のあらゆる部分で腫瘍発見などに使われています。

医療用から産業用へ

こうして医療用の装置として考案されたX線CT技術ですが、その後、産業用としても製品内部を非破壊で検査出来るという利点から拡がります。

 

国内では2000年前後から大手製造メーカーを中心に導入数が増えたようです。

「うちの工場にも古いCTが…」という方は、きっとこの頃の装置かもしれませんね。

 

さて、産業用CT装置の普及が始まると、各装置メーカーは特色を出そうと、幅を拡げます。

「X線がどのくらい通ったか」で判断

透過X線の強度は、物質の厚みに依存

X線CT装置は、X線を物体に照射して、どの位のエネルギーがその物体に吸収されるかという光の減衰量を検出し、360度分の計算をすることで3Dデータを作っています。

 

健康診断で撮るレントゲン像ををイメージすると分かりやすいですが、臓器や骨のあるなしによって、灰色具合が違う像が得られます。

 

これはX線の吸収の仕方がその臓器や骨などの物質や密度によって異なるからで、X線が通りやすいところはより白っぽく(装置によっては黒っぽく)映ります。

カギは「材質」「大きさ」「密度」!

樹脂はX線が通りやすい

金属はX線が通りにくい

産業用の場合に置き換えてみると、X線の通り易さが製品の材質と大きさ(肉厚)、密度によって変わるということです。

 

具体的には、

樹脂サンプルは比較的簡単に、130kV前後の出力でデータ取得出来ますが、

アルミや鉄などの金属は、190kV、225kVと高出力でないとX線が透過出来ないということです。

使う目的によって様々なCT装置が登場

こうなると、高出力に対応するメーカーも出てきて、450kVあたりも多くあります。エンジンブロックなどの大きな金属製品の内部欠陥観察用途などに使われています。

他には、工場のラインでの運用の為に、スループット重視の機種も最近益々増えていたり、

電子部品などの小さな形状を確認する為に、高解像度化したり、

あとはとにかく価格重視で卓上型の数百万円台という機種も出ています。

内部の「観察」ではなく「測定」を重視した開発

老舗の三次元測定機メーカー

このように各社それぞれ「内部を観察するCT」の開発を進める中で、X線CTの技術と三次元測定機の技術を融合し

「内部を非破壊で寸法測定する装置」

を製品化したメーカーがあります。

 

それが弊社が国内唯一の代理店をしているドイツの老舗三次元測定機メーカー、ベアト社です。

ドイツ語でWerthと書きますが、カタカナ読みすると「ベアト」と言います。

世界初!寸法測定用のX線CT装置が誕生

マルチセンサー式三次元測定機

寸法測定用X線CT装置TomoScope

ベアト社は1951年に設立したヨーロッパ最大手クラスの三次元測定機メーカーです。

同社は1台の装置にカメラやレーザー、接触式プローブなど複数のセンサーを搭載し、図面に書かれた寸法を1台でカバーするという「マルチセンサー式三次元測定機」に力を入れていました。

 

そんな時、X線CTの技術の可能性を感じ、

「X線CTもセンサーの1つとして三次元測定機に搭載し、切断せずに製品内部の寸法も測定しよう」

というアイディアに行きつきます。

X線はそのままでは危険ですので、装置自体を鉛のカバーで覆い、遮蔽します。

 

こうして2005年、世界で初めて寸法測定用のX線CT装置として誕生したのが、ベアト社のTomoScopeです。

世界初の寸法精度保証

寸法測定精度の認証取得

「寸法測定が出来る装置」ではなく、「寸法測定精度を保証出来る装置」にする為に、2013年世界で初めてCTとしてドイツ唯一の認証機関であるDAkkSで認定を受けました。

 

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